高校数学Ⅱの等式の証明が理解できる解説

高校数学Ⅱの等式の証明が理解できる解説

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みなさんこんにちは、jonioです。

等式の証明ですがやり方がいきあたりばったりだと問題によって解ける場合と解けない場合にムラが出てきます。

学校の授業だと何となく解けるやり方しか習わないことが多く私が受験生の時は数学自体が苦手で等式の証明問題は定期テストの問題しか解けませんでした。

問題を何となく解くと難易度が上がった時に解けなくなりますのでやり方がある場合はやり方を身に付けないといけません。

等式の証明問題は現在の入試ではほとんど出題されていませんが今後出題頻度が上がる可能性大いにあります

だから等式の証明問題の解き方を入試の問題を使って誰でもできるやり方を説明します。

私が授業で説明するやり方を説明するのでこの記事を読めばあえて参考書を買う必要はないです、そのつもりで説明します。

等式の証明だけでなく他の問題にも使える解き方や考え方も説明します。

それでは説明します。

いくつかの例を使って説明しますが記事をただ読むだけでは分かった気になるだけなので紙に問題を解きながら記事を読んで欲しいです。

 

まずは複雑な式から簡単な式にする等式の証明

「\(a+b+c=0\)のとき,次の等式を証明せよ。

\( a(\frac{1}{b}+\frac{1}{c})+b(\frac{1}{c}+\frac{1}{a})+c(\frac{1}{a}+\frac{1}{b})\)
\(=-3・・・①\)」

やり方はこうする

等式の証明のやり方は色々ありますがまずは複雑な(この式の形にしにくい)式→簡単な(この式の形にしやすい)式にすると考えましょう。

こういう例えで考えるとイメージしやすい

イメージとしていい例えか分からないですが私は授業で↓と言います。

ケーキのスポンジがあってスポンジを盛り付けて作る(複雑な式)のと盛り付けを全て食べてしまってスポンジだけ(簡単な式)にするのはどっちが簡単ですか?

どう考えても「盛り付けを食べてスポンジにする」ですよね、盛り付けは時間がかかるけど食べるのはすぐですから。

だから盛り付け(複雑な式)を取ってスポンジ(簡単な式)にしましょう。

↓は盛り付けたケーキ、盛り付けに時間がかかる。

↓は盛り付けた状態からスポンジにした状態だが簡単にできる。

 

等式の条件式はこう使う

話を戻してこの問題で左辺と右辺を見比べると左辺が右辺より明らかに複雑なので左辺を式変形して右辺にします。

問題文に等式の条件式があります、「\(a+b+c=0\)」でこれを使って証明しますが等式の条件式はどの分野でもまず1文字消去でやってください、大体の問題がうまくいきます。

このことについて説明すると話が長くなり記事を投稿していますのでそれを読んでください、詳しく説明しています。

 

等式の条件式を使ってやってみる

\(a+b+c=0\)より\(a=-b-c\)となり左辺に代入します。

すると

\(a(\frac{1}{b}+\frac{1}{c})+b(\frac{1}{c}+\frac{1}{a})+c(\frac{1}{a}+\frac{1}{b})\)

\(=(-b-c)(\frac{1}{b}+\frac{1}{c})+b(\frac{1}{c}+\frac{1}{-b-c})\)
\(+c(\frac{1}{-b-c}+\frac{1}{b})\)

分数の通分をすると

\(\frac{(c+b)(-b-c)}{bc}+\frac{b(-b-c+c)}{c(-b-c)}+\frac{c(b-b-c)}{(-b-c)b}\)

\(=\frac{-(c+b)^2}{bc}+\frac{b^2}{c(b+c)}+\frac{c^2}{(bc)b}\)

まとめると

\(\frac{-(b+c)^3+b^3+c^3}{bc(b+c)}\)

\(=\frac{-3bc(b+c)}{bc(b+c)}\)

\(=-3\)

となり右辺と一致して証明完了です。

次はこの問題です。

「\(a+b+c=0\)のとき\(a^3+b^3+c^3-3abc=0・・・①\)を示せ。」

明らかに左辺が複雑なので左辺を式変形して右辺にします。

等式の条件式があるので1文字消去をしますが
\(a+b+c=0\)より\(a=-b-c\)とします。

そして左辺に代入して0になることを示します。

やり方は簡単なのでただ答えを書きます。

[答え]

\(a+b+c=0\)より\(a=-b-c\)

\(a^3+b^3+c^3-3abc\)

\(=(-b-c)^3+b^3+c^3-3bc(-b-c)\)

\(=0\)

よって①は成り立つ。

 

少し難しい等式の証明

次はこれです。

「\(a+b+c=1・・・①,\)
\(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=1・・・②\)が成り立つ時,「\(a=1\)または\(b=1\)または\(c=1\)」・・・(✴︎)が成り立つことを証明せよ。」

\(a=1\)または\(b=1\)または\(c=1\)が成り立つことを証明する時はこうする

\(a=1\)または\(b=1\)または\(c=1\)が成り立つことを証明するときですが\((a-1)(b-1)(c-1)=0\)を示します。

理由は\((a-1)(b-1)(c-1)=0\)を解くと\(a=1\)または\(b=1\)または\(c=1\)が言えるからです。

 

等式の条件式がいくつかある時はどれから使うか?

等式の条件式が2つありますが\(a+b+c=1\)・・・①と\(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=1\)・・・②のどちらを使う気になりますか?

分数ではない①が扱いやすそうですよね、だからまず①を式変形しますが数学は条件式がいくつかあったら使いやすい式から手を出すと問題を解きやすいです。

①ですが\(a=1-b-c\)・・・①’として\((a-1)(b-1)(c-1)\)に代入して式変形をします。

すると\((1-b-c-1)(b-1)(c-1)\)

\(=-(b+c)(b-1)(c-1)\)・・・③

 

使っていない等式の条件式を使う時はこうする

次はまだ使ってない②を使うのですが③は\(a\)が含まれてないです。

②は\(a\)が含まれているので\(a\)を消さないといけないですが①’を使います。

②に①’を使って\(\frac{1}{1-b-c}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=1\)

両辺に\(bc(1-b-c)\)をかけて

\(bc+c(1-b-c)+b(1-b-c)\)
\(=bc(1-b-c)\)・・・②’

\(③=0\)にしないといけないのですが③は因数分解の形になっているので②’を因数分解して③の形にします。

\(b\)と\(c\)の2文字ありますがどっちも最高次が同じなので\(b\)の式とします。

(数学は次数が低い文字の式と考えた方が扱いやすいので必ずどの文字が次数が低いか考えましょう)

\(b\)の式としてただ展開して次数が高い順に書くと

\((c-1)b^2+(c^2-2c+1)b-c(c-1)=0\)

\((c-1)b^2+(c-1)^2b-c(c-1)=0\)

\((c-1)\{b^2+(c-1)b-c\}=0\)

\((c-1)(b+c)(b-1)=0\)となりたまたま\(③=0\)を示すことができました。

 

等式の証明で左辺と右辺を計算しないといけないタイプ

このタイプは問題を見てはっきり分かります。

「\(a+b+c+d=0\)のとき,次の等式を証明せよ。

\(a^3+b^3+c^3+d^3\)
\(=3(a+d)(b+d)(c+d)\)・・・(✳︎)」

 

両辺が同じ感じの式になっている

左辺と右辺を見比べた時にどっちが複雑か分からないですよね、どっちも同じ感じの式に見えると思います。

こういう時は右辺と左辺の両方の式を式変形して一致させることで証明します。

\(a+b+c+d=0+\)から\(a=-b-c-d\)となり左辺の式変形からします。

\(a^3+b^3+c^3+d^3\)

\(=(-b-c-d)^3+b^3+c^3+d^3\)となります。

 

文字が3種類以上ある時の展開はこうする

\((-b-c-d)^3\)の式変形ですが多項定理を使って展開するのは面倒ですよね。(意味が分からなかったら気にしなくていいです)

これは知識として知っておいて欲しいのですが文字が3種類以上ある時の展開はどれか1つの文字の式として展開してください。

どういうことかというと

\((-b-c-d)^3=-(b+c+d)^3\)
\(=-\{b+(c+d)\}^3\)として「b」と「c+d」の2つと見て展開をします。

よって\(-\{b+(c+d)\}^3+b^3+c^3+d^3\)

=\(-\{b^3+3b^2(c+d)+3b(c+d)^2+(c+d)^3\}\)
\(+b^3+c^3+d^3\)

展開して\(-3b^2(c+d)-3b(c+d)^2-3c^2d-3cd^2\)となります。

右辺が因数分解された形なので因数分解をします。

\(-3b^2(c+d)-3b(c+d)^2-3c^2d-3cd^2\)

\(=-3b^2(c+d)-3b(c+d)^2-3cd(c+d)\)

\(=-3(c+d)\{b^2+(c+d)b+cd\}\)

\(=-3(c+d)(b+c)(b+d)\)

次は\(a=-b-c-d\)を使って右辺の計算をします。

\(3(a+d)(b+d)(c+d)\)

\(=3(-b-c-d+d)(b+d)(c+d)\)

\(=3(-b-c)(b+d)(c+d)\)

よって右辺と左辺が同じ式になり証明が完了しました。

次はこれです。

「\(a+b+c≠0,abc≠0\)を満たす実数\(a,b,c\)が

(A)\(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=\frac{1}{a+b+c}\)

を満たしている。このとき,任意の奇数\(n\)に対し

(B)\(\frac{1}{a^n}+\frac{1}{b^n}+\frac{1}{c^n}=\frac{1}{(a+b+c)^n}\)

が成立することを示せ。」

 

等式の条件式の使い方の応用

等式の条件式があるので1文字消去を考えますが考え方が難しいので理解できなかったら無理せず飛ばしてください。

等式の条件式ですが今回は\(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=\frac{1}{a+b+c}\)で複雑です。

等式の条件式が複雑な時はこう考えてください。

等式の条件式は1文字消去ですが1文字消去とは何をしているのでしょう?

例えば\(a+b+c=0\)から\(a=-b-c\)としますがこれはこういう風に見ることができるというのを例で説明します。

\(2x=x+1\)より\(x=1\)となり\(x\)に値を代入することができますがこれは\(x\)を消しているので1文字消去していることになりますよね?

\(2x=x+1\)より\(x=1\)にするのは式を解いています。

だから「1文字消去することは式を解いている」と見ることができます。

式を解く時は1次式じゃなかったら因数分解をよくしていますよね。

だから1文字消去をする時に式が複雑だったら因数分解すると思うと条件式が扱いやすくなります。

説明の意味が解らなかったら「複雑な条件式は因数分解する」と覚えても問題ありません。

 

証明スタート

それでは説明しながら問題を解いていきます。

\(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=\frac{1}{a+b+c}\)を因数分解するためにまず分数じゃない式にします。

両辺に\(abc(a+b+c)\)をかけて

\(bc(a+b+c)+ac(a+b+c)\)
\(+ab(a+b+c)=abc\)となりますが因数分解するために\(a\)の式と見て展開して次数が高い順に書きます。

因数分解のやり方について詳しく説明している記事を投稿していますのでそれを見てください。

[blogcard url=”https://bakkagisaji.com/factorization/”]

\((b+c)a^2+(b^2+2bc+c^2)a+bc(b+c)\)
\(=0\)

\((b+c)a^2+(b+c)^2a+bc(b+c)=0\)

\((b+c)\{a^2+(b+c)a+bc\}=0\)より\((b+c)(a+b)(a+c)=0\)

よって\(b+c=0\)または\(a+b=0\)または\(a+c=0\)となり場合分けして証明します。

\((B)\)は両辺とも同じ感じの式なので両辺それぞれを式変形して同じになることを示します。

\(b+c=0\)のとき\(b=-c\)なので

\(\frac{1}{a^n}+\frac{1}{b^n}+\frac{1}{c^n}\)

\(=\frac{1}{a^n}+\frac{1}{(-c)^n}+\frac{1}{c^n}\)・・・①

ここで\(n\)は奇数なので\((-c)^n\)\(=-c^n\)となります。

 

意味が分からなかったらこう考える

この式変形が分からなかったら例えば\(n\)に3を代入してください。

\((-c)^3\)\(=-c^3\)が成り立ちますよね。

よって①は\(\frac{1}{a^n}-\frac{1}{c^n}+\frac{1}{c^n}\)

\(=\frac{1}{a^n}\)となります。

また

\(\frac{1}{(a+b+c)^n}\)

\(=\frac{1}{(a-c+c)^n}\)

\(=\frac{1}{a^n}\)

よって\((B)\)は成立します。

\(a+b=0\)と\(a+c=0\)の時は文字が違うだけでやることは全く同じですので「同様にして成り立つ」と解答に書けばいいです。

証明しても問題ないですが時間がもったいないのでするべきではありません。

両辺を計算して一致することを示すタイプはやることが単純でまず出題されることはないので2問解いておけば大丈夫だと思います。

今回説明しませんが(左辺)-(右辺)=0((右辺)-(左辺)=0)を示す問題もほぼ出題されないです。

複雑な式→簡単な式にする証明と両辺を式変形して同じ式になることを示す証明を見ている気がするのでそれを勉強した方が勉強のやり方として効率的だと思います。

最後は特殊な証明です。

考え方が見たことがない分野の問題に使えるかもしれないのでぜひ見て欲しいです。

 

変わったタイプの等式の証明

次も等式の条件式があって1文字消去だけど条件式が増えます。

「\(y+\frac{1}{z}=1・・・①,z+\frac{1}{x}=1・・・②\)のとき\(x+\frac{1}{y}=1・・・③\)を示せ。」

 

今ある式と証明する式を見比べる

等式の条件式があるので1文字消去を考えますが「どの文字を消そう?」ってなりませんか?

条件式があって示す時ですが「条件式と示す式を見比べてすることを考える」とうまくいく時があります。

条件式は\(x,y,z\)の全ての文字がありますが証明する式は\(z\)がありません。

だから条件式から\(z\)を消そうと考えます。

②からだと簡単に\(z=\)とできるので②を式変形します。

だから\(z+\frac{1}{x}=1\)より\(z=1-\frac{1}{x}\)として①に代入します。

すると

\(y+\frac{1}{z}=1\)

\(y+\frac{1}{1-\frac{1}{x}}=1\)

\(y+\frac{x}{x-1}=1\)

両辺に\((x-1)\)をかけて

\(y(x-1)+x=x-1\)

\(yx-y=-1\)・・・①’

 

式を文字で割る時は注意

\(yx+1=y\)となり両辺を\(y\)(文字)で割るときですが\(0\)になるか分からないので必ず\(0\)になるかならないかで場合分けをしましょう。

①’に\(y=0\)を代入すると\(1=0\)となり不成立なので\(y≠0\)です。

よって①’を\(y\)で割って

\(x+\frac{1}{y}=1\)となり③は成立します。

次はこれです。

「\(a^2-bc=2・・・①,b^2-ca=2・・・②\)\((a≠b)\)のとき,\(c^2-ab=2\)・・・(✳︎)を示せ。」

 

条件式を足したり引いたりする

「条件式をどう使うんだろう」って思いませんか?

①と②のどちらから「\(a=\)」,「\(b=\)」,「\(c=\)」にしてもうまく行かなさそうですよね。

こういう時ですが2つ以上の条件式があったら式を足したり引いたりすればうまく印象です。

とりあえず引いてみます。

①-②とすると

\(a^2-bc-(b^2-ca)=0\)となり1文字消去するために因数分解をします。

\(a\)の式と見て因数分解すると

\(a^2+ca-b(b+c)=0\)

\((a-b)(a+c+b)=0\)

\(a≠b\)より

\(a+c+b=0\)となり1文字消去するための条件式ができました。

\(a=-b-c\)・・・③として(✳︎)の左辺に代入します。

すると

\(c^2-ab\)

\(=c^2-b(-c-b)\)

\(=c^2+bc+b^2\)・・・(✳︎’)となってここからどうすることもできなくなります。

 

こういうやり方を知っておいた方がいい

と②からができましたが(もしくは②と③)を合わせて使ってないですよね。

条件式から新しい条件式ができましたが条件式新しい条件式から別の条件式を作るというやり方を知っておきましょう。

①と③より\((-c-b)^2-bc=2\)

\(c^2+bc+b^2=2\)

となり(✳︎’)が示ました。

②と③を使ってもうまく行きますのでやってみて欲しいです。

しっかり勉強して万が一等式の証明が出題された時に備えましょう。

説明を終わります。