大学受験の数学Ⅲの極限計算の区分求積法をパターンで解く方法
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みなさんこんにちは、jonioです。
「区分求積法の問題がいつも解けない。機械的にできる解き方はないかな?」と思った事はありませんか?
区分求積法は受験生の時相当苦労しましてどうやって積分の式を立てればいいかが分かりませんでした。
教科書を見て何となく解けますが入試の問題になると全く対応できませんでした。
受験生の時の私や生徒もそうですが積分区間がいつも0〜1と思っている人が多いですが違います。
独学で勉強するのは恐らく無理なので積分区間の作り方、積分の式の立て方についてパターンでできるやり方を説明します。
この記事を読めば数学が苦手な人でもできるようになると思います。
数学がめちゃくちゃ苦手な生徒が「区分求積法は問題を解くのが楽しくなった」と言ってましたがそれ程パターン問題なんです。
なるべく私の授業を再現する形の説明をします。
それでは次のページから説明しますがぜひ紙に解き方を書きながら説明を読んで欲しいです。
区分求積法は3つの作業を機械的にすれば解ける
一般的な式を書きますが全部を覚えなくていいです。
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } \frac{1}{n}\sum_{ k = 1 }^{ n }f( \frac{k}{n} ) = \int_0^1 f(x) dx\)
この式の中で覚えて欲しい点は↓です。
・積分の式にした時\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty }と\frac{1}{n}\)は消す
・\(Σ\)の区間から積分区間ができる。
・\(\frac{k}{n}\)が\(x\)になる。
区分求積法の式の作り方を習った受験生の時の私は思ったのですが区分求積法はパズルみたいな感じです。
\(\frac{1}{n}\)と\(Σ\)と\(\frac{k}{n}\)を作れば上手くいきます。
具体的な問題で解き方を見せた方が早いと思うので問題で解き方の説明をします。
「\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } \frac{π}{n}\sum_{ k = 1 }^{ n }cos\frac{kπ}{2n}\)を解け。」
\(\frac{1}{n}\)と\(Σ\)と\(\frac{k}{n}\)を作るのですが私の感覚として\(Σ\)→\(\frac{k}{n}\)→\(\frac{1}{n}\)の順に作るとやりやすいと思います。
\(Σ\)を作る。
\(Σ\)はすでにあるのでそのままにしておいて\(\frac{k}{n}\)を作ります。
\(\frac{k}{n}\)を作る。
\(\frac{k}{n}\)を作りますがkがある所を\(\frac{k}{n}\)にすると思って大丈夫です。
\(cos\frac{kπ}{2n}=cos\frac{π}{2}\)\(\frac{k}{n}\)となり\(\frac{k}{n}\)ができました。
次は\(\frac{1}{n}\)です。
\(\frac{1}{n}\)を作る。
\(\frac{π}{n}=π\)\(\frac{1}{n}\)となり\(\frac{1}{n}\)ができました。
よって\(Σ\),\(\frac{k}{n}\),\(\frac{1}{n}\)の全てができました。
だから最初の式は↓となります。
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } \frac{π}{n}\sum_{ k = 1 }^{ n }cos\frac{kπ}{2n}\)
\(=\displaystyle\lim_{ n \to \infty } π\frac{1}{n}\sum_{ k = 1 }^{ n }cos\frac{π}{2}\frac{k}{n}\)
\(\frac{1}{n}\)と\(Σ\)と\(\frac{k}{n}\)ができたらこうする。
\(Σ\),\(\frac{k}{n}\),\(\frac{1}{n}\)の全てができたら↓とすると思ってください。
積分の式にする時は\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } π\frac{1}{n}\sum_{ k = 1 }^{ n }cos\frac{π}{2}\frac{k}{n}\)の\(\displaystyle\sum_{ k = 1 }^{ n } \)の右側にある\(\frac{k}{n}\)を\(x\)に変えた式を書く。
その際に\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty }と\frac{1}{n}\)は消す
だからこうなります。
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } π\frac{1}{n}\sum_{ k = 1 }^{ n }cos\frac{π}{2}\frac{k}{n}\)
\(=π\int cos\frac{π}{2}\)\(x\)\(dx\)
(積分区間は求め方をまだ説明していないので書いていません)
積分区間はこうすればか〜んたんに作ることができる。
ここからは積分区間の求め方ですがこうやると思って大丈夫です。
この問題の\(Σ\)の区間を使います。
kは1からnまでです。
\(\frac{k}{n}\)のkに\(Σ\)の区間の最初の値1と最後の値nを代入した式を考えます。
すると
\(\frac{1}{n}\)と\(\frac{n}{n}=1\)になります。
ここで\(\frac{1}{n}\)と\(\frac{n}{n}=1\)に対して\(n→∞\)とします。
すると
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } \frac{1}{n}=\)0
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } 1=\)1(今回は\(n→∞\)をする式がたまたま定数でしたがいつも定数とは限らないので\(n→∞\)としています)
\(Σ\)の区間の最初の値を使って極限を考えた0を積分区間のスタートの値にして、\(Σ\)の区間の最後の値を使って極限を考えた1を積分区間の最後の値にして積分区間は0から1までとなります。
よって\(\displaystyle\sum_{ k = 1 }^{ n }\)→\(\int_0^1 \)となります。
よって\(\int_0^1 cos\frac{π}{2}xdx\)を積分すればいいです。(積分計算はこの記事のテーマではないので省略します)
この説明だけではやっていることがぼやっとしか分からないはずなので他の例も見せて解き方が馴染む様にします。
次はこの問題です。
[box05 title=”例”]\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty }\sum_{ k = n+1 }^{ 3n }cos\frac{1}{2n+k}\)を解け。 [/box05]
\(Σ\)→\(\frac{k}{n}\)→\(\frac{1}{n}\)の順に作ります。
\(Σ\)を作るけどもうあるから\(\frac{k}{n}\)を作る。
\(Σ\)はすでにあるので\(\frac{k}{n}\)を作ります。
kがある所を\(\frac{k}{n}\)にするとやりやすいです。
kがある所は\(\frac{1}{2n+k}\)です。
\(\frac{1}{2n+k}\)の分母と分子を\(\frac{1}{n}\)で割ります。
すると\(\frac{\frac{1}{n}}{2+\frac{k}{n}}\)となり\(\frac{k}{n}\)ができました。
\(\frac{1}{n}\)を作る。
次は\(\frac{1}{n}\)です。
\(\displaystyle\sum_{ k = n+1 }^{ 3n }\frac{\frac{1}{n}}{2+\frac{k}{n}}\)
\(=\displaystyle \frac{1}{n}\sum_{ k = n+1 }^{ 3n }\frac{1}{2+\frac{k}{n}}\)
となり\(\frac{1}{n}\)ができました。
よって\(Σ\),\(\frac{k}{n}\),\(\frac{1}{n}\)の全てができました。
だから最初の式は↓となります。
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty }\sum_{ k = n+1 }^{ 3n }\frac{1}{2n+k}\)
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty }\frac{1}{n}\sum_{ k = n+1 }^{ 3n }\frac{1}{2+\frac{k}{n}}\)
\(Σ\),\(\frac{k}{n}\),\(\frac{1}{n}\)の全てができたら↓とすると思ってください。
積分の式にする時は\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty }\frac{1}{n}\sum_{ k = n+1 }^{ 3n }\frac{1}{2+\frac{k}{n}}\)の右側にある\(\frac{k}{n}\)を\(x\)に変えた式を書く。
その際に\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty }と\frac{1}{n}\)は消す
だからこうなります。
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty }\frac{1}{n}\sum_{ k = n+1 }^{ 3n }\frac{1}{2+\frac{k}{n}}\)
\(\int \frac{1}{2+x}dx\)(積分区間は求め方をまだ説明していないので書いていません)
積分区間を作る
ここからは積分区間の求め方ですがこうやると思って覚えて大丈夫です。
この問題の\(Σ\)の区間を使います。
kはn+1から3nまでです。
\(\frac{k}{n}\)のkに区間の最初の値n+1と最後の値3nを代入した式を考えます。
すると
\(\frac{n+1}{n}\)と\(\frac{3n}{n}=3\)になります。
ここで\(\frac{n+1}{n}\)と\(\frac{3n}{n}=3\)に対して\(n→∞\)とします。
すると
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } \frac{n+1}{n}\)
\(=\displaystyle\lim_{ n \to \infty } (1+\frac{1}{n})\)
=1
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } 3=\)3(今回は\(n→∞\)をする式がたまたま定数でしたがいつも定数とは限らないので\(n→∞\)としています)
\(Σ\)の区間の最初の値を使って極限を考えた1を積分区間のスタートの値にして、\(Σ\)の区間の最後の値を使って極限を考えた3を積分区間の最後の値にして積分区間は1から3までとなります。
よって\(\displaystyle\sum_{ k = n+1 }^{ 3n }\)→\(\int_1^3 \)となります。
よって\(\int_1^3 \frac{1}{2+x}dx\)を積分すればいいです。
積分計算はこの記事のテーマではないので省略しますが以前記事を投稿していますのでそれを読んでください。
読めば定積分のやり方はバッチリ分かるはずです。
少し難しい区分求積法の問題
「\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } (\frac{1}{2n+1}+\frac{1}{2n+2}+\frac{1}{2n+3}+\)
\(\displaystyle・・・+\frac{1}{3n})\)を解け。」
\(Σ\)→\(\frac{k}{n}\)→\(\frac{1}{n}\)の順に作ります。
\(Σ\)を作る。
\(Σ\)を作ります。
\( \frac{1}{2n+1}+\frac{1}{2n+2}+\frac{1}{2n+3}+・・・+\frac{1}{3n}\)が和になっているのでここから\(Σ\)を作るはずです。
分母が\( 2n+1→2n+2→2n+3・・・\)となっているので\( \frac{1}{3n}\)の分母は\({2n+n}\)とするはずです。
(和にするには変化する値の規則性を作らないといけないから)
よって
\( \frac{1}{2n+1}+\frac{1}{2n+2}+\frac{1}{2n+3}+・・・+\frac{1}{3n}\)
\( =\frac{1}{2n+1}+\frac{1}{2n+2}+\frac{1}{2n+3}+・・・+\frac{1}{2n+n}\)
\(=\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n } \frac{1}{2n+k}\)となり\(Σ\)ができました。
\(\frac{k}{n}\)を作る。
次は\(\frac{k}{n}\)を作ります。
kがある所を\(\frac{k}{n}\)にするとやりやすいです。
\(\frac{1}{2n+k}\)の分母と分子をnで割ります。
すると\(\frac{1}{2n+k}=\frac{\frac{1}{n}}{2+\frac{k}{n}}\)となり\(\frac{k}{n}\)ができました。
\(\frac{1}{n}\)を作る。
次は\(\frac{1}{n}\)です。
\(=\frac{\frac{1}{n}}{2+\frac{k}{n}}\)
\(=\frac{1}{n}\frac{1}{2+\frac{k}{n}}\)となり\(\frac{1}{n}\)ができました。
よって\(Σ\),\(\frac{k}{n}\),\(\frac{1}{n}\)の全てができました。
だから最初の式は↓となります。
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } (\frac{1}{2n+1}+\frac{1}{2n+2}+\frac{1}{2n+3}+\)
\(\displaystyle・・・+\frac{1}{3n})\)
\(=\displaystyle\lim_{ n \to \infty }\sum_{ k = 1 }^{ n }\frac{1}{n}\frac{1}{2+\frac{k}{n}}\)
\(Σ\),\(\frac{k}{n}\),\(\frac{1}{n}\)の全てができたら↓とすると思ってください。
積分の式にする時は\(=\displaystyle\lim_{ n \to \infty } \sum_{ k = 1 }^{ n }\frac{1}{n}\frac{1}{2+\frac{k}{n}}\)の\(\displaystyle\sum_{ k = 1 }^{ n } \)の右側にある\(\frac{k}{n}\)を\(x\)に変えた式を書く。
その際に\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty }と\frac{1}{n}\)は消す
だからこうなります。
\(=\displaystyle\lim_{ n \to \infty }\sum_{ k = 1 }^{ n }\frac{1}{n}\frac{1}{2+\frac{k}{n}}\)
\(=\displaystyle\lim_{ n \to \infty }\sum_{ k = 1 }^{ n }\frac{1}{n}\frac{1}{2+x}\)(積分区間は求め方をまだ説明していないので書いていません)
積分区間を作る
ここからは積分区間の求め方ですがこうやると思って大丈夫です。
この問題の\(Σ\)の区間を使います。
kは1からnまでです。
\(\frac{k}{n}\)のkに区間の最初の値1と最後の値nを代入した式を考えます。
すると
\(\frac{1}{n}\)と\(\frac{n}{n}=1\)になります。
ここで\(\frac{1}{n}\)と\(\frac{n}{n}=1\)に対して\(n→∞\)とします。
すると
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } \frac{1}{n}=\)0
\(\displaystyle\lim_{ n \to \infty } 1=\)1(今回は\(n→∞\)をする式がたまたま定数でしたがいつも定数とは限らないので\(n→∞\)としています)
\(Σ\)の区間の最初の値を使って極限を考えた0を積分区間のスタートの値にして、\(Σ\)の区間の最後の値を使って極限を考えた1を積分区間の最後の値にして積分区間は0から1までとなります。
よって\(\displaystyle\sum_{ k = 1 }^{ n }\)→\(\int_0^1 \)となります。
よって\(\int_0^1 \frac{1}{2+x}dx\)を積分すればいいです。(積分計算はこの記事のテーマではないので省略します)
といったところです。
区分求積法の問題はいつも同じ手順で積分の式を作ることができますので問題をいっぱい解いて解き方をつかみましょう。
数学Ⅲは国立大学を受けるなら二次試験で逆転可能にできる分野なのでしっかり勉強しましょう。