高校数学と大学数学は全くの別物なので受験数学的ではない

高校数学と大学数学は全くの別物なので受験数学的ではない

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みなさんこんにちは、元予備校講師です。

「大学受験の数学が面白いから大学は理学部数学科に行こうかな?」と思う受験生がいますが「数学は思考力だ」と思っている人に多い気がします。

私が受験生の時は「大学の数学は今勉強している事の延長線だ」と思っていましたがまーったく違います。

この説明を読んでそれでも数学科に入りたいと思ったら数学科に進んで下さい。

ちなみに私は数学科に入ってよかったと思っています。

 

大学数学はひらめきが相当必要

思考力ももちろん必要ですがひらめきが相当必要になり大学の数学は新しい定理を見つけるための勉強をするのだと思います。

新しい内容をみつける時はもちろん理屈もありますがほとんどはひらめきです。

だから頭がめっちゃいいか勉強している期間が長い人ほど有利になります。

私は理屈がかなりある代数学の環(高校数学の集合を拡張したイメージです)というのを勉強しましたがそれでもひらめきは強かったです。

 

大学の時の経験

大学4年生になると研究室配属になって専門書で定理の証明をずーっとするのですが私は内容が理解できなくて毎週50時間位考えて悩んでやっと答えが出たり出なかったりでした。

答えが出ないと本当に病むんです。

「こんな感じの勉強で大丈夫だろうか?」と思いある時自分の指導教官に相談しました。

そしたら指導教官は「僕たちはずーっと勉強しているから式をこう置けば証明できるってひらめくけど学生にはできる訳がないから気にしなくて大丈夫だよ。

「だから中々理解できないのは普通だから勉強をそのまま続けましょう」と言ってました。

4年生になる前から思っていたのですが「どうやったらこれを閃くんだろう?」と思う事がよくありました。

特に位相幾何(数学Aの平面幾何を凄く難しくしたイメージ)のひらめきがキツ過ぎでした。

だからこの分野には進みたくなくて単位を取るためだけの勉強をしました。

Twitterでもこんなツイートがありました。

 

大学数学はあいまいな部分をきっちりさせる

数学Ⅲは計算力がかなり必要になりますが大学の数学はどちらかというと計算ではなく記号のみの式を追いかけていく感じです。

いっぱい計算したのは行列と積分と微分方程式だったと思います。

↓をε-δ論法というのですがこんなのばっかり勉強して日本語をとにかく記号で表します。

これは基礎解析みたいな名前の授業で習うと思いますが私は始めて見た時に意味不明で1ヶ月は悩んだと思います、とにかく違和感しかないんです。

最初は「本当に数学?」と思っていた程で受験数学とのギャップが強すぎてみんなびっくりすると思いますがこれが本当の数学です。

でも半年も勉強すれば当たり前になりますが。

数学Ⅲでn→∞は「nを限りなく無限大に近づける」ですが数学者は「限りなくって何?」と曖昧な表現をとにかく嫌います

だから高校数学の曖昧な部分をはっきりさせます。

数学Ⅲで「はさみうちの原理」がありますよね、証明が高校数学ではできなく大学の数学を使わないといけません

数学Ⅲには他にも高校数学では説明をつけることができない内容がありますがそれをはっきりさせるから私は嬉しかったです。

 

簡単な英語ができないといけない

4年になると研究室配属になって数学の専門書で勉強しますが内容が全部英語です。

といっても中学生までの英語ができれば問題なく読めますが専門用語や数式を英語で書く時の書き方を覚えないといけないです。

絶対値はabsolute valueで3!はthree factorialとかですが大学から数学のための英語の本を渡されるでしょう。

 

数学は2000年の歴史があるのでどこの大学でも同じ分野の勉強ができる

国立大学では数学の先生は少なくとも10人はいるのでどの分野の勉強もできます。

だから偏差値が高い大学に行かないと勉強できない内容はないしやる気がある人は勝手に勉強して分からない所を先生に質問します。

自分の専門分野の場合先生はこういう質問をまず嫌がらないです、大学生があまりにアホなのにウンザリしているから歓迎します。

私は先生がウンザリする位質問しました 笑

旧帝大みたいに偏差値が高い所と地方国立の違いは授業のスピードが違うだけと大学の時の指導教官から聞いています。

それと旧帝大みたいな所の数学の先生は放ったらかしみたいです、学生は言われなくても勝手に勉強するからでしょう。

だから遊びまくると授業についていけなくなり留年の可能性が高まります。

大学院を受けた時に立命館の人がいましたが研究室のゼミは1人の先生に対して学生が30人はいると言ってたので私立は先生が少ないかもしれません。

もし先生が少ないなら質問しにくいし先生は学生に基本興味がないみたいです。

私の大学は1人の先生で学生は4人でした、毎週発表で密度が違いすぎます 笑

 

数学科の大学院と就職について

大学院に関しては昔は他の大学院には入りにくかったみたいですが今は学生確保のために入りやすいです、私も他の大学の院に入りました。

ただ私はそこが自分にあまりに合わなくてすぐ退学したので行きたい大学院があったらよく調べてからにした方がいいです。

といったところですが、大学の数学は受験数学と完全に違うので「数学が好きだから大学は数学科に行こう」と安易に思わない方がいいです。

大学の数学は受験数学みたいにスパッと解ける事はなくさんざん悩み抜いた結果やっと解けるか解けてないかよく分からないみたいな感じでコツコツ頑張る人に向いています。

だから純粋に数学を勉強したい人が数学科に入るといいと思います。

「でも就職先がないかも、、」と思う人がいるかもしれません。

でも指導教官が「大学の数学の抽象的な考え方を欲しがる企業がいーっぱいあるからちゃんと勉強している人は就職は問題なくできるよ」と言ってました。

だから就職に関しては問題ないはずです。